垣内みそ Story
作り続けていくということ。
ここ湯浅町で金山寺味噌を作り続けるということはずいぶん覚悟がいるものです。
湯浅は金山寺味噌がこの地で作られるようになった発祥の尊き伝統を受け継ぐ町。その昔、禅僧覚心が製法を伝え、このあたりの禅寺から栄養食・健康食として広まった金山寺味噌が、750年もの時を経て今もなお伝え続けられていることに思いを馳せると、この地で味噌づくりに携わってきた先人の知恵と工夫、たゆまぬ努力、そしてその先には、穏やかなともしびの中で食卓を囲む人々の笑顔が垣間見えます。
その灯りをともし続ける。
そんな覚悟をもって、いつかそこに帰りたくなるような心の味を、垣内みそは創業から70年、粛々とここ湯浅の町で作り続けています。
垣内みその思い
金山寺みそを仕込むときにいつも思うことは、お召し上がりになる方に、ほっとしていただいているだろうかということです。
昔と違い、豊かな食卓では日々たくさんの食材を使った美味しいお料理が並べられます。
そんな中で金山寺みそは、決して主役ではないけれど、そこにはいつもあって、味わえば懐かしいような安心できるような、心にも体にも優しい存在でありたいと思っております。
お客様の食卓に「ほっとする」そんな和やかな時が流れていますように。そういつも願いながら丁寧に丁寧に、手間ひまかけておつくりしています。
麹と手間がうま味をはぐくむ
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仕込みはじまり
味噌の大元となる「米・大豆・麦」の仕込みから始まります。
まずは玄米を精米。この米は新潟産コシヒカリなど、その時々で作柄の良い国産米を選んでいます。良質の北海道産丸大豆はていねいに煎り、半分に。そのとき皮もとれているので口に残らず大豆の豊かな風味が残ります。
そして、麦。その気候風土から良質の麦ができる香川県産に限ります。
この3つを水につけおきます。つけておく時間は、材料の作柄、室内の温度、水温により、その時々で違ってきます。材料をじかに手に取ったときの感触や、季節を肌で感じていくことが重要なのです。
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麹と混ぜる 発酵
米・大豆・麦を一気に蒸し上げ、いよいよ味噌づくりの核となる麹とまぜる作業です。
今も昔もここが一番神経を使います。
うまく発酵してもらえるようにその時の温度や湿度によって、まぜ具合や麹の量を調整していきます。それらを室(むろ)とよばれる温度管理された部屋でおよそ三日三晩発酵させていきます。
1日目は一切触らず、
2日目はそっと混ぜる「手入れ」をし、
そして3日目、表面が真っ白になっていればうまく発酵してくれた証です。 -
野菜たちと共に
紀州みなべ産の赤しそをはじめ、白瓜、丸なす、しょうがなどの野菜はすべて国産。昔からお付き合いのある特定の農家さんからいただいています。
それらを細かく切るのですが、お口の中で邪魔にならないように、それでいてそれぞれの野菜の風味がしっかり味わえるようにと考えながら。それらを混ぜたら、素材の風味が生きるように天塩などを使い控えめに味付け。
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ゆっくり熟成
そこから樽に入れて温蔵庫で約2ヶ月、ゆっくりゆっくりさらに発酵を促します。
温蔵庫の中は夏の温度になるように管理されていて、この温度帯が一番良い具合に発酵熟成していってくれると経験が感じさせてくれます。昔は練炭やストーブを炊いて部屋の温度を上げるなどしていましたが、温度を一定に保つのは大変な作業でした。
手作業よりも安定するような作業は機械化して、より安心してお召し上がりいただけるように気を配っています。
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こうして出来上がった金山寺味噌。
素材のそれぞれがまるでこんなに美味しくできましたよと言わんばかりにつやつやと輝いていて、作る私たちも誇らしくなる一瞬です。
ありがたいことに、お客様からお客様への口伝えで、全国からご注文のお手紙やお電話をいただくようになって参りました。
お客様から「おたくの金山寺味噌は慎ましく上品な味だ」とお褒めの言葉をいただいたことがあります。いろんな場面で慎ましさと謙虚な気持ちを忘れず、安心していつかそこに帰ってきていただける味をこれからも伝え続けていきたいと思っております。
紀州湯浅においでの折は、
ぜひ当店にもお寄りくださいませ。
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湯浅本店
和歌山県有田郡湯浅町大字別所342番地1
営業時間 9:00-18:30
元旦のみ休業いたします。 -
24号バイパス店
和歌山市里45-1 国道24号線バイパス沿
営業時間 9:00-18:30
定休日 毎週水曜日